黒蘭の蔵

気に入ったもの、気になったものを放り込んでおく蔵
2011/04/26(火)
長文になりますが、興味のある方はお付き合いください。

FBIがAnonymous(アノニマス)に逮捕状?/黒蘭の蔵(2011年4月23日)

改めて一から記事を書くつもりで書いていきますが、省略した部分もあるので詳しくは上の記事もご覧いただけたらと思います。
なお掲載リンクの日付はすべて現地時間のものです。


今月始め頃、ハッカー集団「Anonymous(アノニマス)」の攻撃によって、PlayStationNetwork(PSN)やPlayStation関連のサイト等がダウンするといったネットワーク障害が発生しました。
攻撃は一度収まったものの、ここ数日間、PSNにサインインできない状態が続いているため、彼らの関与を疑う声もちらほらと見られました。

ちなみに「Anonymous」は内部告発サイト「WikiLeaks(ウィキリークス)」を支持しており、以前にはウィキリークスへの寄付金送金等の取引を停止した企業へのサイバー攻撃も行っていました。


さて先日4月23日、2ちゃんねるのとあるスレッドにて以下の海外サイト記事が「FBIからアノニマスに逮捕状が出た」という趣旨で紹介され、複数のレスがつきます。

The FBI Has Issued 40 Arrest Warrants For Anonymous Members /Games Thirst(2011年4月22日)

このGamesThirst記事は「FBIがアノニマスメンバーに対して40件の逮捕状を出した」というタイトルで、記事中には下の動画も掲載されていました。
※動画は削除されたようです。(2011年4月30日確認)

EXCLUSIVE- FBI After Anonymous PS3 - Sony Hackers /YouTube(2011年4月22日)


そしてこれらの書き込みを引用し、上の動画とともに掲載した記事が複数のゲーム系ブログにアップされます。


しかし動画を見て疑問に思い、調べてみたところ、動画は2011年1月28日に投稿されたものが別のユーザーによって再アップされたものだったようです。
おそらく下の動画がオリジナル。

EXCLUSIVE: FBI After Anonymous /YouTube(2011年1月28日)


検索してヒットしたニュース記事と照らし合わせると、その内容は、2011年1月27日にウィキリークスがらみの事件でアノニマスメンバーとされる5人がイギリスで逮捕されたこと、2011年1月28日にアメリカFBIが同様の件で40件の捜索令状を取り、家宅捜索を行ったことが伝えられていると思われます。
また、28日の家宅捜索では逮捕者は出なかったものの、有罪となれば禁固(懲役?)10年の刑罰が科せられるとも伝えています。

少なくともこの動画をソース(情報元)に、「FBIがアノニマスに逮捕状を出した」というのは不適当だと思われます。


GamesThirstの記事を見てみると、文中にも「FBIがアノニマスに対し40件の『逮捕状(arrest warrant)』」を出したと書かれていますが、それが「いつ」出されたものか具体的な記述はありません。

「FBI」「Anonymous」「arrest(逮捕)」等のキーワードで検索してみても、ヒットする記事の多くは1月27日、28日の件を伝えるもので、「FBIがAnonに40件の逮捕状を出した」という見出しがついていても、GamesThirst記事や掲載動画(再アップ動画)を元に立てられた海外フォーラム(掲示板)のスレッドだったりで、ここ数日のニュースとして独自に伝えているサイトは見つけることはできませんでした。

また、私が検索した範囲では、1月27日、28日のニュースを伝える記事において「『逮捕状(arrest warrant)』を出した」とするものはGamesThirst記事の他に1件あったものの、ほとんどが「『捜索令状(search warrant)』を出した」とするものでした。

さらに昨日、FBIのプレスリリースを検索してみたところ、「Anonymous」「warrant(令状)」に関するリリースは下の2011年1月27日に出された「捜索令状(search warrant)」のものだけでした。

Search Warrants Executed in the United States as Part of Ongoing Cyber Investigation /FBI.gov(2011年1月27日)

おそらくGamesThirstの記事は、「捜索令状(search warrant)」と「逮捕状(arrest warrant)」を取り違えたのではないかと考えられます。


以上のことから当ブログの結論として、2011年4月22日のGamesThirst記事と掲載動画、それらをソースとした引用・転載記事が伝える「FBIがアノニマスに対する40件の逮捕状を出した」という情報は誤報であると判断します。

勿論、私自身の英語力・検索力の乏しさから誤った判断をしている可能性もあります。
できれば皆様ご自身で検索したり、リンク先をご覧いただくなどして判断していただけたらと思います。


でもメンドくさいよね。
よし!もおーーーーーーーーいいっ!
もうこのネタはこれ以上やんない!


いや、もうちょっとだけw

検索してヒットした海外フォーラムでは、当然英語を理解しているユーザーが書き込んでいるはずですが、動画見ずにスレッドのタイトル見ただけと思われる書き込みや、動画見ても特に疑問を持ってないような書き込みがあったりしたのはなかなか興味深かったですね。
この辺は洋の東西を問わず一緒なんだなぁ、と。

勿論、「それ古いニュースだよ」「逮捕状じゃなくて捜索令状な」「PSNとは関係ないよ」と指摘する人は日本よりは多くいるんですが、そういった書き込みがあった後でも「逮捕状」前提の書き込みがいくつもありました。
まぁ、GamesThirstの記事が逮捕そのものを伝えるという意図よりは、動画のほうでアノニマスメンバーと思われる人物がインタビューに答えており、それに関してどう思うか?といった内容のようで、スレを立てた人や書き込んだ人の中にはその議論をしたいと考えているような人もいると思われます。

日本の掲示板やブログのコメント欄で間違いを指摘する書き込みもいくつかあったんですが、多数の書き込みの中に埋没するものがほとんどでしたね。
一応言っておきますと、私はそれらの掲示板、ブログに書き込みはしておりません。
確証と勇気がなかったというのもありますし、タイミングがなかったというのもありますし、成り行きに任せるとどうなるのか見たかったというのもあります。

そんな中、昨日25日には「アノニマスメンバー5人がイギリスで逮捕された」といった掲示板への書き込みと引用記事が出てきました。
当記事を全部読んでくださった方はもうお分かりかと思いますが、その出来事は今年1月27日のもので、しかもソースはGamesThirst記事と掲載動画。
書き込みをした方はおそらく動画は見たと思われるのですが、「FBIから逮捕状」も疑ってませんでしたし、やはりここ最近の出来事と思っているようでした。

Twitterでの反応も興味深かったですね。
最初の「40件の逮捕状」ではすでに逮捕されていることになっていたり、「イギリスで5人逮捕」を受けて40人中5人が逮捕と捉えてる人もいたりと、まさに伝言ゲームというか。
それらを放置プレイしてる私もアレですけどねw

アレついでに蛇足かもしれませんが、以下のような記事もありました。

Anonymous hacking suspects released on bail /Guardian.co.uk(2011年1月28日)
FBI、WikiLeaks支持者によるWebサイト攻撃を巡り40件超の家宅捜索 /Computerworld.jp2011年1月31日)
【レポート】DDoS攻撃は現代の抗議活動!? WikiLeaks支持者の行為は本当に違法なのか/マイコミジャーナル(2011年2月7日)
New arrest over Anonymous' pro-WikiLeaks attacks /Telegraph(2011年4月15日)

ガーディアン記事は、イギリスで27日に逮捕された5人の容疑者が保釈されたことを見出しに据えた上で、アメリカで捜索令状が出されたことやアノニマスからの声明等を伝えています。
Computerworldとマイコミ記事はタイトル通り日本語記事。
1月27日、28日の件がまとめられています。
テレグラフ記事はイギリスで新たに6人目の逮捕者が出たという記事。
勿論この逮捕はWikiLeaks関連事件でのもののようです。


よし!もおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっいいっ!(笑
といったところで、ここまで読んでくださった皆様、長文にお付き合いいただきありがとうございました。


2011年4月30日 GamesThirst記事に掲載されていた動画が削除されていたのを確認。記事に追記
この記事へのコメント
動画を見てみましたが、黒蘭さんの指摘は正しいと、私は思いました。
どこかの誰かが入手した情報をコピペして拡散する場合、その情報が正しいものであるかどうかを確認しないと、へたをすれば自分も間違った情報の発信源となってしまいますよね。
しかも取り返しがつきにくい。訂正の声は拡散しにくいと思うのです。
「現場にすらいない野次馬」の声ほど、あてにならないものはありません。

ただこういうことは大小問わずうっかりとやってしまいがちなので、自分でも日々の中で、確定ボタンを押す前にしばらく考えてみる事が必要だなと思いました。
2011/05/03(火) | URL | Sigre #-[ 編集]
確認していただき、ありがとうございました。

情報ツール・コミュニケーションツールが手軽に利用できるようになった分、情報の発信・拡散も容易になったように思います。
メリットもある一方で、デマや誤情報の発信・拡散を防ぐには、利用者の意識に頼らざるをえないというのがちょっともどかしいですね。

>「訂正の声は拡散しにくい」

仰るとおりだと思います。
自分の知る情報が誤報かもしれない、と疑わない限り、訂正がないか調べることもないですしね。

このネタに関してはたまたま動画を見て「おや?」と思い、調べることになりましたが、今まで接した情報の中には確認せず、誤って理解してるものもあるような気がしてます。
自分の中で誤解してる分にはまだマシなのかもしれませんが、外に出す際は一呼吸置いたほうが良さそうですね。
2011/05/03(火) | URL | 喜石黒蘭 #gCBQAbbg[ 編集]
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