黒蘭の蔵

気に入ったもの、気になったものを放り込んでおく蔵
2014/12/23(火)
マダム・イン・ニューヨーク
2012年
監督:ガウリ・シンデー
主要キャスト:シュリデヴィ アディル・フセイン メーディ・ネブー プリヤ・アーナンド

ヒロインはインドで夫と姑、2人の子供たちと暮らす女性シャシ。
主婦業の傍ら、伝統菓子ラドゥを作り、身近な人たちに販売する生活を送っているが、ビジネスマンの夫や子供たちと違って英語があまり得意ではない。

英語の発音をからかわれ、思春期の娘との関わり方に悩み、夫の言葉に密かに胸を痛めていたある時、ニューヨークに住む親戚の結婚式の手伝いをするため、家族より先に単身渡米することになる。
滞在先である姉の家ではヒンディー語での会話は弾むが英語の会話には入ることができず、ニューヨークの街でもやはりうまく通じず、深く傷ついてしまう。

そんな時、目にした「4週間で英語ができるようになる」という英会話教室の広告。
シャシは周囲には内緒でその英会話教室に通い始める。






感想を。
うっすらネタバレになり得る記述が含まれるかもしれません。

インド産ハートウォーミングコメディー映画。
私がインド映画をちゃんと観たのは『マッキー』に続き、これが2作目。
インド映画のイメージとして歌と踊りのシーンが突然始まる印象がありますが、本作ではシャシの心象を表すようなBGMとしてのボーカル曲が入ったり、結婚式のリハーサルとしてのダンスシーンなどが入ります。
特に過剰な印象はなく、エンターテイメントとして楽しめると思います。

英会話能力と家族関係に悩む主婦が英語を学び、困難を克服すると、単純に言えばそんな話ですが、シャシが徐々に成長していく姿、英会話能力だけでなく、女性として、人としての輝きを取り戻していくような姿に胸を打たれ、応援したくなる作品です。

本作においてシャシが「英語」というものによって傷つき、その困難に立ち向かうために「英語」を学んでいく目的は、単に英会話能力の向上だけでなく、作中でも言及されていたと思いますが、自分に自信を持つことや、人として最低限の敬意を払われることだったのではないかと思います。
一方で、悪気ない言葉であっても言われた当人には刺さってしまうこともある、近しい人間同士ならなおさら、と我が身を考えさせられます。

様々な国にルーツを持つ人たちが集まる英会話教室のシーン、そんなクラスメートたちが会話するシーンも楽しかったですね。
シャシとフランス人男性との微妙な距離のロマンスもちょっとしたスパイス。
既婚者、子持ちの彼女がどう結論を出すのか、ずっと気になって観てました。
最終的にはキレイな結末だったと思います。
セリフも良かった。

英会話教室に通うことを隠している理由がいまひとつ理解できないのが難点でしょうか。
シャシが普段からサリーを着用していることや、インド式の結婚式について言及していることなどから、彼女が伝統を重んじるような女性であり、“冒険”するようなタイプではないと彼女自身が意識しているからか、あるいは(彼女にとっては)高額の授業料のせいなのか。
逆に、終盤に大きなトラブルが発生する原因が、作中に伏線として描かれていたのは感心しました。

クライマックスは英語によるスピーチ。
激しいアクションがあるわけでもないシーンに、ちょっとハラハラしながら前のめりに耳を傾けるというのは面白い。

シャシ役の女優シュリデヴィさんもチャーミングですね。
第一印象は「目ぇでけえ」でした(笑
アイメイクのせいもあるかもしれませんが。
1963年生まれということで、女性の年齢をアレするのはアレですが、撮影時で50手前と知ってまたビビりました。


最後に蛇足。
本作のキーワードのひとつとして「judgmental(ジャッジメンタル)」という単語が出てきます。
「一方的な判断をする」、「性急に判断を下す」、本編字幕では「決め付ける」といった意味。
本作を観終わったあと、ユーザーレビューをいくつか見て回ったんですが、低評価レビューの中にジャッジメンタルな文言が並んでいたのが味わい深かったです
まるw

エンターテイメント作品を楽しむのに、その作品が「女性向け」なのか「男性向け」なのか、「子供向け」なのか「大人向け」なのか、受け手が考える必要はないと私は思いますね。
年齢制限があるのは別ですが(笑

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