黒蘭の蔵

気に入ったもの、気になったものを放り込んでおく蔵
2013/12/13(金)
PS3『パペッティア』の紹介と感想、第3回となります。
とりあえず3回にまとめました。
新たに思いついたことなど加筆・修正、あるいは「その4」を書くかもしれませんが、一応終了ということで。

うっすらネタバレになり得る記述が含まれるかもしれません。
ご覧になる方はご注意ください。


その1はコチラ⇒PS3『パペッティア』 紹介と感想 その1
その2はコチラ⇒PS3『パペッティア』 紹介と感想 その2



◇舞台風演出

物語はこれまで述べたように舞台演劇の形式でのデモシーンやナレーションによって描かれ、進行していきます。



デモシーンの中には、円形の舞台が回る“回り舞台”を使ったような場面変化や演出、現実の舞台ではおそらく困難であろう急激なセットチェンジや真上から見るようなアングルなどがあり、舞台風の演出とゲーム世界のデザインが融合した、単なるCGムービーとは違った仕上がりになっています。



また、ミュージカルが披露される場面もあります。
前述の通り、サボらないキャラクターと見事なアニメーション、そして歌声と音楽によるミュージカルシーンはかなり楽しかったです。
ミュージカルの不自然さのようなものを毛嫌いしている人もいるかもしれませんが、このミュージカルシーンはそういったものに対するパロディの意味も含まれているように思います。
個人的にはもう一箇所くらい見たかった気もします。

観客の存在もまた、劇場という世界観を表現するための要素となっています。
ゲームプレイ中に敵が現れると驚きの声、隠しルートなどを見つけると歓声、ボスを倒すと拍手が起こり、ヘッドアクションから発生するイベントなどにもざわついたり笑ったりと反応を返します。


◇物語、ストーリーテリング



物語の内容としては「選ばれた英雄が悪者をやっつける」という分かりやすいおとぎ話であり、クウタロウの英雄譚と言えます。
全体的に登場キャラクターによるコミカルな掛け合いが多く、また、劇中で「こないな大根(役者) 誰が連れてきたん?」などと言うように、本作が「お芝居」であることをバラすような、いわゆる“メタ”なノリや、「なんということでしょう」、「ね、簡単でしょ」といったパロディ要素もあります。

一方で、本編、ボーナスステージ内など所々、軽いブラックユーモアや皮肉めいたシニカルな表現も含まれていますが、万人向けとまでは言わないまでも、問題なく楽しめる内容だと思います。
ただ、1章クリアするごとに読めるようになる絵本の中には、ややキツめの毒が含まれているものもあるので注意したほうが良いかもしれません。

一部後述しますが、本作の特長としてナレーションによるストーリーテリングがあり、ステージを進むだけでも物語の進行や舞台の解説は勿論、やや脱線する語りが入ります。
また、ボーナスステージではそのステージデザインに沿った、うんちく混じりの幅広いジャンルの語りが展開されます。

映画、ドラマなどと異なるのは勿論、他のゲームにおけるカットシーンとも違う、ゲームプレイとストーリーテリングが同時に進行するのは、なんと言うか、可能性を感じるところです。


◇音楽、SE

BGMでは将軍撃破後のヒーロー映画風BGMや重厚なムーンベアキングのテーマ(?)、ヘッドコレクション部屋のBGMなどが印象に残っています。
逆にそれ以外の印象はいまひとつとも言えますが、聞けばステージの雰囲気とマッチしてグッとくるものもあります。

音響効果ではハサミの音やオブジェクトが切れる音、ムンピーを大量に取得する音が気持ちよかったですね。
残機99機でもムンピーは残さず拾ってました。
また、ヘッドアクションの際に固有のサウンドが流れるものも多く、スシヘッドのSEは耳に残ります。


◇音声

本作の魅力のひとつに、藤原啓治さん演じる劇場支配人ミスターGによるナレーションが挙げられます。
物語としてのナレーションは勿論、進んでいるステージに関連することを話していたかと思うと突然プライベートなことを語り出したり、ピカリナと口ゲンカを始めたりします。
真剣な口調から軽薄なトーンまで聞き応えがあり、ひと通り聞き終えるまで立ち止まることもしばしば。



前述の絵本もまた藤原さんの朗読で進んでいきます。
絵本に登場する全てのキャラクターを藤原さんが演じ分けていて、同氏のファンの方にはたまらないのではないでしょうか。

松岡由貴さん演じる関西弁のピカリナもミスターG同様、劇中でよくしゃべるキャラクターとなっており、物語の進行のほか、ステージ背景のチェックなどで様々なリアクションを返してくれます。
ミスターGとの掛け合いも楽しく、ネイティブな関西弁も相まって、非常に愛らしいキャラクターです。
フクロウをクリックしたときの悲鳴や「ほなな~」が良かった。

そのほか、何名かの声優さんが複数のキャラクターを掛け持ちで演じています。
スタッフロールを見て分かったものも多く、その演じ分けはさすがといった感じです。


◇英語版

PS3本体設定にある表示言語設定を英語(English)に変更すると、英語音声・英語字幕でプレイすることができます。



勿論、基本的なストーリーや映像表現に違いはありませんが、例えば食べ物について議論するボーナスステージ内で、ピカリナが日本語では「たこ焼き」と言っていたところが「ピザ」になっていたり、ミスターピンクの絵本ではある点に関してほのめかす文章表現が追加されているなど、一部セリフやテキストに違いがあります。
一方で「竹取物語」や「こいのぼり」に関する部分など、そのまま英語で表現されている部分もあります。

英語版のボイスアクトも見事です。
ナレーターは藤原さんのそれとは異なり風格のある声に、ピカリナはよりおてんばな女の子の雰囲気が強めの声に感じます。
ほかにも、言葉は英語ですが、スペイン語系やフランス語系、南米、東欧、中華系と思われるものなど“なまり”で特徴付けられているキャラクターたちもいて楽しかったですね。
一応、私の英語力に関して言っておくと、たまに海外映画・ドラマDVDを英語音声で見る程度で、それほど自信はなく、“なまり”なども詳しく知っているわけではありません。


◇難易度

ゲーム自体の難易度に関して、ネット上では「難しい」という声も見られたのですが、個人的にはそれほど高くは感じられず、程よいといった印象です。
初見だとレールカット中のジャンプが間に合わなかったり、ボスの攻撃を受けたりもしますが、アクションゲームに慣れている人ならそれほど難しくはないかもしれません。

空中でカット用オブジェクトにハサミを入れるタイミングや、ボス戦での攻撃パターンの見極めなどがポイントになるでしょうか。
クウタロウの残機は結構増えますし、ヘッドが手に入るタイミングも割りと多くあるので、アクションが苦手な人は、「ヘッドひとつくらい失くしてもいい」くらいの楽な姿勢で遊ぶと良いかもしれません。


◇やり込み

やり込み要素としてデクに封じ込められた子どもたちの魂の解放や、ヘッドの収集、ヘッドアクションイベントの発見、100ムンピーの獲得などがあります。
魂やヘッドは一度プレイしただけではコンプリートできないステージもあり、新たな能力が使えるようになったあと周回プレイをする必要があります。



トロフィーのコンプ条件それ自体はそれほど難しくなさそうでしたが、100ムンピーなどのある場所が分かりにくいところもあり、自力での発見は難しかったですね。
改めて記しておきますが、トロフィーコンプに2Pプレイは必須ではありません。
特定のヘッドを使うことでサポートキャラが2P操作とほぼ同様の状態になります。

繰り返しプレイは、物語の楽しさや背景チェックによるリアクションを新たに発見することなどもあり、特に苦ではありませんでした。


◇総評

全編に渡ってクリエイターのアイディアと創造性、そして遊び心が感じられ、それらを基に、しっかりと作り込まれた作品だと思います。

空中で物を切って移動するというアイディアやバラエティに富んだ舞台で、プラットフォーミングアクションゲームとして遊びやすく、活き活きとしたキャラクターたちによるにぎやかで、意外と壮大な冒険物語は楽しかったです。

『パペッティア』より優れた、遊び応えのあるプラットフォーミングアクションゲームは他にあるでしょう。
『パペッティア』よりクオリティが高く、見応えのあるフルCGアニメーションは他にあるかもしれません。
しかし、『パペッティア』のようなデジタルエンターテイメント作品は他にないと言わせていただきます。

「ゲームが好き」、「趣味のひとつがゲームである」という方には是非、購入していただきたいですね。
初週販売本数は芳しいものではなかったようですが、こういった意欲的でしっかりと作り込まれた新規IPが正当に評価され、代価が支払われるゲーム市場であることを切に願います。


◇蛇足

本作のゲーム部分に対して、伝統的なテレビゲームの文法を現在の技術で表現したもののように感じました。

ファミコン時代のゲームでは特定のポイントでジャンプをしたりするとボーナス得点が入ったり、ブロックを叩くとツルが伸びて雲の上のボーナスステージへ行けるものなどがあります。
それが本作におけるヘッドアクションとそのリアクションとなる演出に当たるように思います。

また、ボタン入力に対して画面からの反応があることが、コンピューターゲームの根源的な楽しさのひとつとしてあると思いますが、それもまたパートナーキャラクターによる背景チェックからちょっとしたイベントが発生するところに、その楽しさを感じたように思います。

『パペッティア』のそれらの演出はかつてのゲームと比べれば豪華で、すべて異なったものが用意されているという贅沢さもありますが、根源は伝統的なアクションゲームにつながっているように感じました。


その1へ⇒PS3『パペッティア』 紹介と感想 その1
その2へ⇒PS3『パペッティア』 紹介と感想 その2


2014年8月19日 記事を一部修正、追記、画像追加。

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